November 19, 2009
たわごと。
私が死の床につく時、
迎えに来てくれるのは人形達だけだ。
重くなった目蓋をうっすらと開ければ、
石塑やビスクのひんやりとした指が
冷たく硬くなった私の頬を撫でて
こっちだよと無表情で言ってくれる。
狭く手入れのとどいていない部屋の中央に
ぼろぼろの汚い敷布団に横たわる老いた私の周りを彼らが取り囲んで、
しわしわの私の体を撫でる。
こっちだよこっちだよ。
今まで重くて仕方がなかった肉体をするりと抜け出て
彼らの手を私はいともたやすく取る事だろう。
私の死の床につく時、
私はやっと彼等と見詰め合う事がゆるされる。
そう思えば怖いもの等何もない。
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